『成瀬は都を駆け抜ける』 宮島未奈

2024年の本屋大賞を受賞した『成瀬は天下を取りにいく』シリーズの第3弾、『成瀬は都を駆け抜ける』を読んだ。
本の帯には、「完結」の文字が…・
ということは、このシリーズはこれで終わりなのだろう。

『成瀬は天下を取りにいく』で出会った成瀬のキャラは、とてもユニークで、とても魅力的だ。
物語中でも多くの人を惹きつけ、多くの読者も惹きつける成瀬だった。
それだけに、これで終わりとはさびしい限りである。

今回の成瀬は、京都大学に入学し、実家のある滋賀県大津市膳所から通っている設定だ。
地元のパトロールをして治安維持に貢献し、びわ湖大津観光大使としての活動もしている。
せっかく京都に通学するのだからと、京都を極めようとしたり、大忙しである。
とにかく自由であり、何事にも動じない性格は、どうやら家庭環境と母から来ているらしい。

幼なじみの島崎和菓子は、東京で暮らしているから、きっと成瀬は新しい友達を得るのだろうと思っていたら、初っ端から坪井さくらと出会う。
彼女は失恋の痛手から立ち直れず、失意の状態で成瀬と出会い、本編ではずっと成瀬と大学生活を共にする。

次に成瀬は、梅谷誠に出会う。
彼も京大生であり、入学時の健康診断の日に木陰でこたつを囲む3人の男性と出会う。
達磨研究会の面々である。
その関係で活動内容が良くわからない達磨研究会に成瀬も入ることになる。

その次に出会うのは、ユーチューバーの「ぼきののか」である。
簿記1級を目指す人達向けの動画を発信しているのが、「ぼきののか」という女性だ。
彼女がある日ライブ配信している時に、成瀬と出会い、ライブ配信に登場した成瀬の方が注目を浴びたりするから、面白い。

途中からちょっとトーンが変わってきた。
成瀬は滋賀のローカル放送に出演することになり、母親が成瀬について語ることになる。
『成瀬は天下を取りにいく』の頃の成瀬の回想もあり、どうして成瀬が自由な子なのかということがわかるような気がしてくる。

成瀬に恋する西浦も出てくる。
西浦は以前カルタ大会で成瀬と出会い、成瀬に恋をしたのだった。
広島出身だが、成瀬が京都の大学に行くということで、京都に出てきている。
彼の目を通して、成瀬の休日がいかに忙しいかがわかるのが、とても面白い。

最後は、成瀬と幼なじみの島崎和菓子が登場する。
成瀬が入院し、あわてて東京から飛んで来るのだけど、なぜかびわ湖大津観光大使をやる羽目になる。
このあたりが、成瀬シリーズ全体のお決まり事のような気がする。
成瀬とつきあっていると、いつの間にかそのペースにはまってしまうのだ。
成瀬と島崎は京都から滋賀県へ通じる疏水船に乗ることになる。
疏水船なんてあったんだ、と思ったから読んだ後でネットで検索したら本当にあった。
最後は、登場人物が総出演することになり、完結編らしい。

何だかまだまだ続く気がするし、社会人になった成瀬を見てみたくもある。
でも、結婚して子どもができて、みたいな物語には合わない気もする。
もっとびっくりするような人生を生きるのだろうと、僕は思いたい。

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