『事故物件、いかがですか?東京ロンダリング』原田ひ香

事故物件、いかがですか?東京ロンダリング

今月の2冊目(2024年:95冊/累計:1,920冊)

『東京ロンダリング』を読んだのは、2022年6月のことだった。
「影」と言われる人たちが、事故物件に1か月間住む。
それにより物件の履歴告知義務をクリアする仕組みだ。

義父から相続したアパートを、夫に代わって管理している妻の話から始まる。
夫婦仲はうまく行ってなくて、夫からは嫌な大家の仕事を押しつけられる。
このアパートで事故が起きるところから物語が始まる。

会社勤めをしながらロンダリングをこっそりやっている男性と会社の同僚の話に変わる。
この男がある日失踪してしまう。
この本の単行本のタイトルには「失踪」という言葉が使われていた。
文庫本になった時に、「事故物件、いかがですか?」に改題されている。
「失踪」の話はよく出てくる。

前作『東京ロンダリング』の主人公、りさ子ももちろん登場する。
「影」の仕事を斡旋する不動産屋の社長も、もちろん出てきている。

いくつかの物語が少しずつつながっている。
主人公が切り替わって、いろいろな登場人物目線で物語が進んでいく。
後半になると、もう本の中にのめり込んで、ページをめくるスピードも速くなる。
ラストは「なるほど、こういうふうにつながっていたのか」とミステリータッチの部分もあって、読んでいて楽しかった。

集英社文庫 2022年5月25日

春風 裕

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