『古本食堂 新装開店』原田ひ香

今月の9冊目(2024年:61冊/累計:1,886冊)

2年前の2022年7月1日に読了した『古本食堂』の続編。
兄が急逝し妹の珊瑚が、兄が経営していた神保町にある「鷹島古書店」とその書店が入っているビルのオーナーを引き継ぐところから、物語は始まった。
急遽古書店を継いで経営していく珊瑚とそれを手伝う親戚の大学生美希喜の二人が、この物語の中心。

前作で学生だった美希喜は、卒業して「鷹島古書店」の従業員となる。従業員と言うよりも経営者に近い立ち位置である。
続編に「新装開店」とあるのは、古書店にカフェスペースを作るため改装するから。
ページ数にしては長くないが、兄視点の部分もあり、古書店の歴史が語られ、兄のちょっとした秘密も語られている。

このシリーズは本と食べ物をモチーフとしているが、物語は「鷹島古書店」がどうなっていくかということが軸になっていると思う。
前作では兄から妹の珊瑚へ引き継がれて、珊瑚は急な事業の継承に戸惑いながらも、美希喜の助けを借りて続けて行く。
続編ではカフェスペースを併設することによって、古書店は新しくなっていく。

珊瑚は兄の急逝で急遽北海道から東京へ出てきて、古書店を継ぐことになるが、北海道で暮らす大切な人への思いもあり、心は揺れ動いている。
美希喜はむしろ背水の陣かもしれない。
大学院を卒業して、古書店で働くことを選んだのだから。
しかし、まだまだ珊瑚を頼りにしているので、北海道に帰った珊瑚が帰って来ないのではないかと不安に思う。

珊瑚は北海道に戻り、大切な人の怪我が治ったら東京へ戻ると言う。
物語はまだまだ途中で、この本は繋ぎの部分だと思われる。
じれったいくらいにスローテンポで物語が進んで行くので、せっかちな私にとっては、少々退屈な場面もあったような気がする。
完結編として次回作が出るのか、それともまだまだ続くのか、それはわからないけれど、楽しみでもある。

角川春樹事務所 2024年6月18日

春風 裕

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