『山の上の家事学校』近藤史恵
今月の7冊目(2024年:52冊/累計:1,877冊)
主人公は新聞記者として働く男性で、奥さんから愛想を尽かされ、独り寂しく暮らしている。
妹から山の上にある男性だけが通う家事学校を勧められ、その学校に通うことになる。
合宿形式でも通いでも良い家事学校なんだけど、通っている人はそれほど多く無さそうだ。
それぞれが事情を抱えているようだけど、主人公以外の人達の事情にはそれほど深入りしていない。
あくまでも主人公の事情が中心なのだ。
こんな家事学校は、架空の存在なんだろうけど、こんな学校があったら面白い。
面白いと思っているのだから、実際に存在したら行くかどうかと言うと、やはり私は行かないだろう。
料理学校ならほんの少しの興味はあるけれど。
家事学校に通い始めて、主人公は家事に関することや元妻に対するこれまでの考え方の誤りに気づく。
悲しいかな今更の話なのだけど、娘に会うためにも自分が変わらなくてはと考える。
このあたりが、主人公が非常に素直な人だと思うところである。
小難しい理屈で解決しようとしないところが良い。
最後は普通の終わり方だったかなと思う。
意外性はないし、やたら悲惨な終わり方でもなく、やっぱりこうなるんだろうなという終わり方だった。
従って読後感は悪くはないが、あまりすっきりとはしなった。
それにしても今回の近藤史恵さんのこの本は、帯のコメントをされている原田ひ香さんの小説に良く似ていると思う。
近藤史恵さんさっh、いろんな引き出しを持った方なのだけど、こういうのもあるんだなと改めて思った。
中央公論新社 2024年3月18日発行